用語解説目次
エージェントとは
なぜエージェントが必要か
エージェント業務の種類
- ファシリティエージェント
- ペイイングエージェント
- セキュリティエージェント
エージェントとは
融資業務におけるエージェントとは、銀行から資金を借りる会社から委託を受けて、振込や書類送付など事務代行をする者のことを指す。委託される業務の種類として、口座管理や担保管理など様々ある (*1) 。エージェントフィーとはこのような代行者に払う業務委託手数料を指す。尚、このようなエージェントフィーは資金を借りた側が融資に係る手数料の一部として支払う事が一般的である (*2) 。
なぜエージェントが必要か
エージェントは、資金を貸し出す銀行側の代表として、銀行と借手の間に立ち、様々な調整を行う。上述の通り、エージェント業務が事務的な作業であるならば、エージェントフィーを最終的に支払う借手側が自分でペーパーワークや振込等の事務作業を行えば安く済むかもしれないが、あくまで資金を貸す側の銀行の観点から、様々な作業が滞りなく遂行される事を確認する必要性があり、その観点から銀行側で手配され、指定される。融資契約において定めた条項がその通りに履行されているかを第三者から確認される必要がある。
エージェントが必要となるシチュエーションとして、複数の銀行で協調して一つの案件向けに融資を行うシンジケートローンと呼ばれるローンの組成・実行がある。借手が条件交渉や事務連絡を銀行と行いたいときに、いちいち同じ内容を複数の銀行に個別に行うのは効率が悪い為、銀行団の方で予め取りまとめ役となる銀行を選んでおき、そのとりまとめ役が借手との交渉や事務連絡を一括して引き受ける。この取りまとめ役もエージェントの仕事の一部である。このことからも分かるように、「代行者」とはいえ、一般的にシンジケートローン(協調融資)に参加している銀行の中から選定される事が一般的である。
エージェント業務の種類
エージェントが担当する業務一覧について、金融庁ホームページに下記の3分類があるので、それぞれ説明する (*3) 。国内の小規模な案件であれば、単独のエージェントが指定され、上述のような様々な業務を代行し、エージェントフィーを対価として受けることとなる。西村あさひ法律事務所のプロジェクトファイナンスの書籍 (*4) によれば、例えば下記のような業務がエージェントの所掌となる。
- 貸付実行の事務の取り纏め
- 貸付に関してエージェントが受領した金額の各貸付人に対する割り当て額の計算
- 貸付人に対する通知
- プロジェクト口座の管理
- 担保関連契約による担保権の管理および実行
- 施設の運転保守、環境、技術等に係る情報の取り纏め、および施設完工の認定に係る業務
- その他の借入人、スポンサー等との協議の取り纏め
また、海外の大規模なプロジェクト等では、エージェント業務も下記のように分け、複数行によって分担されることもある。
ファシリティエージェント
融資に参加する銀行団の意思決定の取りまとめ、および契約条項に従った案件管理を行う。
- 契約期間中の借入人・貸付人間の通知取次
- 情報伝達業務(各種通知の送付)
ペイイングエージェント
ファシリティエージェントの通知に基づき実際に貸付の実行など、資金のデリバリーを行う。
- 元利金の受け払い等の資金決済に関する事務の取りまとめ
- SPC キャッシュフローの口座管理
- 資金決済業務(期日の管理、元利金の受払い)
セキュリティエージェント
銀行団を代表して、担保の管理を担当する。借入人が銀行団に差し出す担保について、銀行団を代表してセキュリティエージェントとなる銀行が占有の上、管理する。
- 担保管理